CANインベーダーによる車両盗難の深刻な実態と対策—メーカーの対応は十分か?

プライベート 5月 8, 2025

はじめに

近年、車両盗難はますます高度化しており、特に「CANインベーダー」という手口が急速に広がっています。この方法は、車両のCAN(Controller Area Network)バスに物理的にアクセスし、不正な信号を送ることでドアの解錠やエンジン始動を可能にするものです。驚くべきことに、この手口はわずか数分で成功し、鍵を使わずに車が持ち去られることも珍しくありません。

埼玉県警の公式発表によれば、5月5日から6日にかけてさいたま市で発生した自動車盗難事件も、この手口による可能性が高いとされています。警察は盗難防止のために「左側面を壁際に駐車する」ことを推奨しており、これが物理的なアクセスを難しくする有効な手段となっているのです。

この問題について、メーカー側はどれほど対策を進めているのか? ユーザーはどのような防犯策を講じるべきなのか? 詳しく掘り下げていきます。

CANインベーダーとは?

仕組み

CANインベーダーは、車両の内部通信ネットワークであるCANバスを悪用し、不正な命令を送ることで車を操作する手法です。本来CANバスは、各ECU(電子制御ユニット)が通信するためのシステムとして設計されていますが、セキュリティ対策が不十分な場合、外部から容易にアクセスされてしまいます。

攻撃の流れ

  1. 物理的なアクセス
    犯行者は、車両の灯火類やフェンダー付近の配線を介してCANバスにアクセスします。一部の車種ではバンパー内部やホイールアーチ付近の配線からECUへ接続可能であり、これが盗難の大きな原因となっています。
  2. 偽の信号送信
    専用のハッキングツールを使用し、車両に「スマートキーが認識された」などの偽の信号を送り、ドアの解錠やエンジン始動を可能にします。
  3. 短時間での盗難
    一連のプロセスは数分以内に完了することが多く、適切な防犯対策が施されていない車両では、簡単に盗難されてしまいます。

メーカー側の対応不足

防犯対策が不十分な理由

車両メーカーは防犯システムを導入していますが、CANインベーダーに対して十分な対策が取られているとは言えません。その主な理由として以下が挙げられます:

  1. 開発コストと設計の問題
    CANインベーダーを防ぐためには、ネットワークの暗号化やECUの物理的な保護が必要ですが、これには高額なコストがかかるため、メーカーは慎重になっています。
  2. 利便性とのトレードオフ
    厳重なセキュリティ対策を施すと、正規のユーザーが車両を操作する際の利便性が低下する可能性があります。例えば、毎回認証プロセスを経由する必要があると、ユーザーにとって煩わしく感じられることがあります。
  3. 市場と法規制の影響
    一部の国では、車両盗難に関する法規制が厳しくないため、メーカーが積極的に対応するインセンティブが低い可能性があります。その結果、盗難リスクの高い車種が継続して販売されています。

ランクルの左前バンパー付近の構造

特に、トヨタ・ランドクルーザーなどの人気車種は盗難のターゲットになりやすく、左前バンパー内の配線が容易にアクセスできる構造になっていることが問題視されています。盗難グループは、バンパーの特定部分を取り外し、直接CANバスに接続することで盗難を成功させています。

ユーザーができる防犯対策

物理的な防御策

  1. OBDポートロックの導入
    OBDポートをロックすることで、不正アクセスを防ぐことができます。
  2. CANプロテクターの装着
    車両のCANバスに不正アクセスしにくくする物理的な防御策です。
  3. 駐車環境の工夫
    可能な限り壁際に駐車し、ECUや配線への物理的なアクセスを難しくする。

ソフトウェアによる防御策

  1. アフターマーケットのセキュリティシステム
    外部の防犯システムを導入することで、異常な信号を検出し、警報を発することが可能です。
  2. GPSトラッカーの設置
    盗難された場合でも、車両の位置を追跡しやすくするための対策として有効です。

メーカーの啓蒙活動の必要性

現状では、車両盗難の問題に関する啓蒙活動が不十分であることが指摘されています。例えば、メーカーがパンフレットや公式発表を通じて以下のような情報を提供すれば、ユーザーの意識が高まり、盗難防止につながるでしょう。

  1. 盗難リスクが高い車種の公開
  2. 防犯対策のガイドラインを明示
  3. 物理的な防御策の推奨
  4. CANバスへのアクセスリスクの明確化

こうした情報がメーカー側から適切に提供されれば、ユーザーの防犯意識が高まり、盗難を未然に防ぐことができるはずです。

今後の展望

車両盗難の手口は今後も進化していくと考えられます。メーカーはより高度な防御策の開発を進める必要があり、ユーザー側も適切な防犯対策を講じることが重要です。

現状では、警察のアナウンスが頼りになっているものの、メーカー側がもっと積極的に盗難リスクを啓蒙し、ユーザーに安全な車両管理方法を提示することが求められます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です